1,000人のうち約3人の赤ちゃんに発症するというちょっとレア(?)な病気、肥厚性幽門狭窄症。
うちの子も新生児の頃発症しました。
そのときのことや、今の状態について記録しておきたいと思います。
幽門狭窄症はなぜ起こる?
肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)とは、胃の出口にある「幽門」の筋肉が何らかの原因で分厚くなることで十二指腸への通り道が狭くなってしまい、胃の内容物が十二指腸に流れ出にくくなってしまう病気です。
何故か第一子の男の子(息子はまさにこのパターン!)が多く、環境要因や遺伝要因などの仮説がありますが現在のところ原因は不明です。
(ちなみに私や夫の親戚には幽門狭窄症の既往歴がある人はいません)
新生児期(生後0ヶ月)での発症が多く、うちの子も生後1ヶ月になる直前に急に症状が出始めました。
突然ミルクをピューっと吐く
それは息子がもうすぐ生後1ヶ月になろうかというある日の深夜。
息子が突然ピューっと吐いたのです。
幽門狭窄症の症状はよく「噴水のように吐く」と言われますが、私は
と思いました。
噴水っていうと真上に液体が(クジラみたいに?)出るイメージですが、息子の場合は寝ながら斜め上に向かってゴポッと吐いたので噴水という感じではなかったです。
吐いたのは大量の白い液体(恐らく50分前にのんだ母乳とミルク)でした。
これまで吐き戻しなんてしなかった子なのでびっくり。
でも今思い返せば、2日前に少しだけ溢乳していました。
「たらー」って程度でしたが、前兆だったのかもしれませんね。
吐いて1時間経ってから少なめの授乳をし、以後少量ずつ増やして授乳量を元に戻していきました。
そして半日後、今度は授乳20分後に息子がまたピューっと…
やけに吐くなぁ、体調悪いのかな?と心配になりネットで調べると「幽門狭窄症」の症状によく似ています。
当時里帰りしていて実家の家族に相談もしてみましたが、
赤ちゃんの吐きこぼしはよくあることだし…まさかそんなレアな病気では…という感じ。
不安になりながらも「まさか」という思いは私もあり、少量の頻回授乳で様子見をしました。
次の日は一度少量吐いた(寝ながら横に少したれた程度)のみで過ごせてホッ
…としたのもつかの間、その翌日また大量にミルクを吐いてしまいました。
ここで私は幽門狭窄症と確信。
深夜でしたが出産した病院に電話をして相談すると、朝になったら受診するよう言われました。
検査、診断、そして入院
病院ではX線検査や腹部の超音波検査をして、すぐに肥厚性幽門狭窄症と診断されました。
赤ちゃんが幽門狭窄症かも?と不安になっている方は、検査機器が充実している大きな病院を受診するのがおすすめです。
治療は手術にするか薬剤(硫酸アトロピン)治療にするか迷いましたが、
医師が
- 薬剤治療は効果が出るまで長くかかり、今の栄養不足状態が長く続く。
- 薬剤治療は結局効果がないこともよくあり、その場合は手術に切り替える。
- この病院では殆ど100%の人が手術を選択している。
と手術推し。
私はオロオロしていて何も決められませんでしたが、夫が「長く辛い薬剤治療をしても、効果が出ず結局手術になることもあるならば」と手術をすることに決定。
(薬剤治療を選択なさる他のお母様お父様に対する批判ではありません。あくまで私たちの価値観です)
即入院となり、手術日は2日後に決まりました。
手術までは点滴のみで授乳はありません。
腕に点滴をつけて泣き続ける息子が可哀想すぎました…
看護師さんにおしゃぶりを与えてもらい、それで我慢…できるはずもなく、日中はずっと私が抱っこして病室内を歩き回り誤魔化していました(親が泊まって付き添う病院ではないので、私は夜間は帰宅でした)
いよいよ手術当日
小さい手術着に着替えて手術室へ運ばれる息子。手術室前で最後の「また後でね」をします。
まだ生後1ヶ月なのに全身麻酔なんて…
手術は「簡単な手術」「すぐ終わる」「医師なら誰でもできる」と友人の医師達から聞いていたのですが、それでもすごく緊張しました。
11時前に手術室に入って、12時か遅くとも12時半頃には終わるだろうという話でしたが、
なかなか戻ってこない。
心配になってくる私…
13時になってもでてこない!
グーグル検索魔と化す私…(「幽門狭窄症 手術 時間」)
13時半になってもでてこない!
どんどん思考がマイナス方面にいってしまいます。
この日は夫も休みで一緒にいてくれたのが救いでした。一人だったら不安に押しつぶされていたかもしれません。
そして14時にようやく息子が戻ってきました!!!
手術はオヘソの上を少し切開して幽門部を引き出し、厚くなった筋肉を切開して胃の出口を拡げるラムステッド法というものでしたが、息子の場合は幽門部が引き出しにくく手術器具をお腹の中にいれて作業したので時間がかかったとのこと。
何も問題なく手術が終わったんだとわかり、ようやく私も落ち着くことができました。
麻酔処置などを除いた手術時間は2時間。
出血量は7mlとのこと。少な!!
こんな時なのに夫は「俺の鼻血より少ないんじゃないの?」とか言っていました…なんなんこの人。
手術後の入院期間
手術後もいきなり授乳できるわけではなく、点滴のみで丸一日過ごしました。
そして翌日いよいよ「ソリタ水 10ml」を飲めることに。口からの飲み物は3日ぶり。
哺乳瓶を咥えるとすぐに一気飲みしました。
また3時間後にソリタ水、その3時間後にいよいよミルクです。20mlだけ。
当然一気飲みして「もっとよこせー!」と泣きました。
手術翌々日には40ml、その次の日には60ml…と1回あたりの授乳量を増やしていきますが、息子には足りないらしく連日不機嫌でした。
そして手術から5日後にはすっかり元気でミルクも100ml飲んでご満悦。
無事退院することができました。
余談ですがこの日はじめて息子がニコッと笑いました。
その後の経過
手術後は投薬や特別なケアの指示はなく、いつも通り過ごしてOKでした。
退院から1週間後に術後の経過チェックがありました。経過良好とのことで安心。
そのさらに1ヶ月後、2ヶ月後にまた経過チェック。異常なし。
手術のとき切ったオヘソの上部分が触ると少し硬く感じるが、これは正常な反応とのこと。
(私は医師に言われるまで気づかないレベルの違いでしたが、言われて触ってみると確かに少し硬かった)
これで経過チェックも卒業し、完治ということに!
1歳の今では、手術をしたことなんて想像もつかないようなわんぱく息子に成長し、日々元気に動き回っています。
当時は発症~退院までの一時的な栄養不足状態による悪影響を心配したこともありましたが、そんなことを感じさせないほど普通に(むしろ他の子より早めに)発達しています。
手術は本当に上手に切ってもらえたようで、痕はオヘソと同化して素人目には全くわかりません。