海外で生活することになった日本人ファミリーにとって、子供は日本人学校と現地校どちらに行く方べきか、悩みますよね。
私も駐在が決まった時、ネットでたくさん先輩方の体験談を読みました。
そして、実際にアメリカに来て、長男はまず日本人学校に数ヶ月通い、現在は現地の公立小学校(Kinder Grade)に通っています。
この記事では、どちらも通ってみて分かったそれぞれの学校のメリット・デメリットについて書いていきます。
言語
日本人学校
先生もお友達も日本語を話すので、アメリカに来たばかりで慣れない環境に戸惑う長男も、あまり抵抗なく通い始めました。
もちろん、転校のストレスはあったと思いますが、言語は通じるので、日本国内の転校とほぼ同じ感覚。
日本人学校とはいえ、アメリカで生徒たちが生きていくのに困らぬよう、英語教育もしてくれました。
クラスメイトは似たようなレベルなので、(自分だけ英語がわからなく辛い…)ということはなく、「英語は楽しいもの」とインプットされ、短時間ではありますが色々な単語やフレーズを覚えてきました。
現地公立校
海外から来たばかりの英語を喋れない子は、はじめは登校を拒否することが多いです。数ヶ月に及ぶことも。
長男は英語を少し学習してから通い始めた(▶参考記事『子供の英語教育-現地校編入前に準備したこと』)のと、低学年ということもあり、先生や友達の話がわからないことによる登園渋りはありませんでした。
当たり前ですが、すべての授業が英語で行われ、友達も先生も英語なので、英語力は伸びます。
よく「子供は新しい言語にすぐ慣れるから大丈夫」と聞きますが、既に日本語を堪能に喋る年齢になると、他言語でスムーズにコミュニケーションを取れるようになるには時間がかかるし、子供にかかるストレスはかなり大きいと感じました(学年が上がるほど顕著に)
友達関係
日本人学校
生徒は広域から通っているので、家が近くて気軽に遊べる友達は数人でした。
それでもすぐに日本人の友達ができたことは、長男にとって何よりも嬉しかったようでした。
放課後や休みの日にもよく遊びましたし、現地校に通っている現在でも日本人学校のお友達と交流があります。
現地公立校
学校生活を無難に送るのは問題なくとも、クラスの子と対等に付き合える英語力はないことから、なかなか仲良しの友達ができず、1ヶ月ほどで「学校行きたくないなぁ」とポツリと言うようになりました。
本来の長男は明るくおちゃらけていてフレンドリーな性格ですが、現地校のクラスでは、言語面の不利のためあまり自分を出せなかったようです。
友達関係を学ぶ貴重な時期に、言語がわからないことでコミュニケーション力を高めることができないのは、現地校の最大のデメリットと感じました。
授業内容
日本人学校
日本の教育内容に準拠した授業が行われているので、日本の子供達と同レベルの内容を学ぶことができます。小学生は日本と同様に漢字学習もあります。
そのため、帰国して日本の学校に通うことになっても、言語・勉強面で遅れを取らずにすみます。これは大きなメリットです。
また、言語や授業内容だけでなく、学校そのものがTHE 日本。
連絡事項はプリントが配られ、連絡帳で先生とやり取りし、転校してしまう子や年度末に担任が終了する先生にはアルバムを作って贈り、発表会や運動会があり、校庭ではドロケイや氷鬼で遊び、休み時間に皆でトイレに行き…ここ日本だっけ?と思うレベルです。
現地公立校
日本の小学1年生が漢字の勉強を始める頃、NYCのGrade1はSight Words(英単語を見てすぐ理解)の勉強をしています。
高学年では、プレゼンやエッセイもできなくてはならないので、親が勉強を見きれない場合は、アルバイトのチューターを雇って子供に勉強に教えてもらう必要も出てきます。
算数はアメリカの方が日本より1年遅れぐらいのスピードで進むので、日本人の子はアメリカに来ると”私は算数が得意”となる傾向。
駐在員など短期滞在の場合は、帰国後に日本の授業についていけなくなると困るので、土日や放課後に日本語補習校に通ったり、通信教育を利用して日本の国語(特に漢字)や算数のレベルを維持する勉強をしている子が多いです。
また、日本の学校と現地校では学年が違うため(▶参考記事『アメリカ(ニューヨーク)の学年区切り』)、転校によって急に1学年上がったり下がったりすることもあり、ややこしい。
環境
日本人学校
駐在員、日米国際結婚、永住日本人、日系人、の子供ばかり。
私立の日本人学校は学費が高いこともあり、保護者は皆きちんとした方でした。
子供の教育レベルも高く、安定して治安がいい。
先生はアメリカ永住の方もいれば、日本からビザを取って来ている方も。
現地公立校
誰でも入れる現地公立校、授業料は無料です。
学区により差はありますが(▶参考記事『ニューヨーク現地校の探し方。学区はなぜ重要か』)、良い学区として評価が高い長男の学校でも、クラスによっては環境が悪いです。
長男の同級生には”悪ガキ”が何人かいたのですが、担任の先生は彼らを上手く扱えず、クラスは荒れ放題で、耐えかねて私立に転校した子もいました。
小学校低学年ではその程度ですが、他地域で中学生の子を持つ知人からはマリファナや刃物所持などの話も聞くのが怖い…
親の負担
日本人学校
先生からの連絡、面談、他の父兄との会話…など全て日本語なので、保護者はラク。
私立なのでボランティアに駆り出されることもほぼありませんでした。
現地公立校
日本とアメリカの小学校の違いの記事にて詳しく書きましたが、とにかくボランティア多し、寄付多し。
しょっちゅう学校に呼ばれます。日本の公立小学校よりも高頻度。
また、これは公立に限りませんが、現地校に通わせる場合は、先生やママ友と英語でコミュニケーションを取らなければなりません。
欠席
日本人学校
せっかくの駐在という機会、近隣諸国や国内の旅行をたくさんしたいと考えている方も多いかと思います。
ビザ更新やリフレッシュのため、日本に一時帰国することもありますよね。
日本人学校では、「旅行/一時帰国のため休みます」は全く問題無しでした。むしろ日常茶飯事。
また、アメリカの現地校と日本人学校は長期休暇の時期が少し違う(※下表の一例参照)ので、それを利用してオフシーズンに安く長期旅行することも可能。
※(例) | 春休み | 夏休み | 秋冬休み |
日本人学校 | 3月下旬~4月上旬 | 6月中旬~8月中旬 | 年末年始休暇(12月下旬~1月上旬) |
アメリカ現地校 | 4月中旬 | 7~8月 | 感謝祭休暇(11月下旬) |
現地公立校
まとめ
個人的には、日本人学校の方が
- 慣れ親しんだ言語で人間関係を構築できる
- 日本帰国後も勉強や文化面で困らない
- 環境が良い傾向
- 言語、ボランティア、寄付面で親の負担が少ない
- 旅行や一時帰国の融通が効きやすい
と、単純な比較では圧勝です。

現地校は、子供は最初めちゃくちゃストレスを感じるし、それに対応する親も疲れるし、人種差別やイジメに遭う子もいるし、親も疲れるし、旅行は高いし、帰国後また日本に馴染むのが大変そう…と書くと、なんで現地校行ってるの?って感じなんですが、
他文化の中で生きる経験は、現地校ならでは。
暑い夏に校庭に等間隔に整列して先生の長い話を聞く、みたいな、日本独特の窮屈さと同調圧力が無いのは良いところ。
校則もない。髪は何色でもいいし、メイクも好きなだけすればいい。
クラスで演劇をやるとか、合唱コンクールはない。
お弁当にスナックを持ってきたり、りんごを丸かじりするのも別に普通。
英語のアクセントは色々あって、どれが良いとか悪いとかじゃない。
子供は10歳前後で習得している言語は忘れないようなので、
たとえば、7~9歳で渡米して5年間駐在なら、最初は苦労しますが英語力は盤石になるはず(日本語のキープが大変なのはまた別の話)なので、私なら現地校かなと思います。
逆に、2歳で渡米して3年間駐在する場合は、簡単に英語を覚えられると思いますが、帰国したらかなり努力しないと英語は残らない可能性大。帰国後の語学学習(インター等)を想定して現地校か、日本語優先で日本人学校(幼稚園)か迷うところ。
10代からは、英語環境に慣れるまでが相当大変。現地校の治安や本人の希望次第になるかと思います。
帰国時に高校生以上になる場合は、学年がズレてしまうことにより、日本帰国後に本来の学年へ戻れない等の問題も要注意です。
バイリンガル教育については、Twitterで教えていただいたこちらの本を私も今読んでいるのですが、大変参考になります。
子供の第2言語習得について、開始年齢別の言語力推移など、実際の数字を用いてグラフで解説されています。
現地校に通う予定だけれど、子供はどのくらいの期間で現地の子供と同等の言語力になる?どんな性格の子が第二言語を習得しやすい?など気になっている方におすすめです。