長男はニューヨーク市(以下NYC)の現地公立校(以下パブリックスクール)に通っています。
実際に子供を現地校に通わせてみて、日本の学校との違いに驚いたことがたくさんありました。
朝昼の給食が無料
日本の小学校では、保護者が給食費を納めますが、NYCのパブリックスクールでは給食が完全無料となっています。
昼食は学校のカフェテリアで皆で食べますが、スクールランチを食べてもいいし、持ってきたお弁当を食べても、両方食べるのもOK。
「今日は”給食/お弁当”にします」と先生に連絡する必要はなし。
お弁当の子はお弁当箱を開けて食べるし、スクールランチの子は食事を取りに行きます。
給食は、固定メニューのサンドイッチやフルーツ等のほか、日替わりのピザやチキンクリスピーなど、たくさんの選択肢の中から好きなものを選べます。
いろいろな宗教や家庭環境の子がいるので、ベジタリアン食、ヴィーガン食、ハラール食もあり。
NYCのパブリックスクールの給食メニューは公式サイトで公開されています。
スクールランチを選んだ日のお迎え時に「今日何食べたの?」と聞くと、
「リンゴとーチョコレートミルクとーピザとー…」と、あまり健康的では無さそうな…アメリカっぽい答えが返ってきます(笑)
また、昼食だけでなく、希望すれば朝食も無料で食べることができます(!)
シリアルやフルーツは毎日固定で、日替わりメニューはパンケーキ、マフィン、フレンチトースト、ベーグルなどなど。
登校時間は8時半ですが、朝食を食べたい場合は8時に子供を送ると、スタッフの方がカフェテリアまで連れて行ってくれる方式です。これも事前連絡不要。すごい。
学費は無料だけど寄付が多い
NYCのパブリックスクールの授業料は完全無料ですが、とにかく、ありとあらゆる手段で保護者から寄付金を集めます。
そして、集められた寄付金はより良い教育(教材や設備等)のために使われるので、保護者もどんどん寄付をします。
これが富裕層が多い学区=いい学区となる要因の一つです。
- 学校グッズを作って売り、儲けは寄付金へ。
- 綺麗な古本を集めて売り、売上は寄付金へ。
- 保護者から集めた物やチケットを賞品にしたゲームイベントが開催され、参加料は寄付金へ。
Read-A-Thonという読書週間では、学校から指示された読書時間記録サイトに登録すると、「頑張っているあなたの子供を応援するために寄付金を贈りましょう!全校目標額は10,000ドルです!」とすぐに寄付誘導されました(笑)
寄付には子供へのメッセージ(”I’m proud of you, Eva!”のような)を添えることができ、他の保護者からも金額、名前、メッセージが見える仕組み(匿名も可能)
「他の保護者もこんなに募金してる…私も募金しよう」となるわけです。
我が家も寄付したのですが、完了後すぐに、「あと〇〇ドル寄付してみましょう!」「この読書週間をおじいちゃん、おばあちゃん、叔父、叔母、いとこなどの親戚や友人にも紹介して子供を応援しましょう!」とのメッセージが表示されました。1ドルでも多くかき集めたい気概を感じる。
そして、目標達成するまでメールが毎日のように届きます。「今7,500ドルの寄付金が集まりました!もうすぐで目標到達です!今すぐ寄付はこちら→」
PTAからの連絡メールや学校ニュースレターにも、とにかく寄付・寄付・寄付。
寄付金はクレカのネット決済やApplePayで簡単に支払えるので気軽に寄付☆
とにかく何かあるたびに寄付金募集があります。
×連絡帳 〇メール
先生と保護者の連絡は、連絡帳ではなくメール。
- 親>インフルエンザにかかったので〇日まで休みます。診断書PDFを添付します。
- 親>うちの子が〇〇ちゃんに虐められていると言っています。
- 先生>〇〇君が教室でこんなことをしました(注意)
などの個別の連絡事項から
- 先生>〇日に遠足に行きます。ボランティア参加の保護者を募集します。
- PTA>今月の会合は〇日〇時~カフェテリアでやります。
- 学校>新しいWeb教材を使用することにしたので、ここから登録してください。
のような全体連絡までメールです。
学校連絡、学年連絡、クラス連絡、PTA連絡があるので、しょっちゅうメールが届きます。
メールなので、子供が保護者に重要なプリントを渡し忘れた!などの日本でよく聞くトラブルはなく便利。
英語学習サポート
英語が第一言語ではない生徒のために、NYCのパブリックスクールでは、英語のサポート授業(ENL)が行われます。
クラスメイトたちがReadingやWritingなどの授業を受けている間、別の教室で英語学習の授業を受けさせてもらえる仕組みです。
入学時に英語力を診断するテストを受け、4段階のレベル別クラスに分かれます。
…ということになっていますが、長男の学校はネイティブスピーカーが殆どで、英語学習中の生徒が非常に少ないため、
- レベル別のクラスは無く、1クラスのみの開設
- 生徒のレベルによってENL授業に呼ばれる頻度が変わる
という割と雑な運用になっていました。
英語が喋れない子は、英語学習中の生徒が多く、ENLが充実している学校の方が良いと思います(▶調べ方をまとめた記事)
アフタースクール
学校では、アフタースクールが毎日開設されています。
野球やバスケ、工作、演劇など、校内か近隣で行われるたくさんの種類の習い事があり、一日2つまで選択できます。
たとえば、月曜日の放課後はまず野球、それが終わったらプログラミング、火曜日は習い事ナシ、水曜日は演劇…のような感じでスケジュールを組めます。
また、英語力アップさせたい場合は、アフターは非常に有効だと思います。
送り迎え必須
これは日本でも有名な話ですが、低学年の小学生が保護者なしで歩いて登校することはありません(違法)
多くの地域で、スクールバスか保護者の車による送迎が行われていますが、NYCでは歩いて子供を送り迎えする場合が多いです。
送りは8時半、迎えは14時半で、防犯上の理由により門が空くのはそれぞれ5分だけ。
多言語対応と無料通訳
NYCには様々な言語・バックグラウンドの子供と保護者がいます。
そのため、重要文書、フォーム、動画は下記の言語で翻訳版が用意されます。
編入学に際してFamily Welcome Centerに相談する際は母国語で対応してもらえるし、
入学後は、PTAのミーティングや先生との面談においても、希望すれば無料で通訳をアサインしてもらえるそうです。
面談・説明会はオンライン
個人面談は年2回(年度初め・半ば)ありますが、先生とのスケジュール調整はオンラインでした。専用予約サイトに
〇月1日△時~【予約】
〇月2日△時~【予約】
〇月2日×時~【予約】
〇月3日△時~【空き無し】
…
のようにたくさんの枠が設定されていて、早い者勝ちで予約します。
日本のように、連絡帳や申込用紙に記入して、先生が集めて、取りまとめて、日時が決まったら紙で通知して…という手間がないので、とても良いと思います。
ちなみに、この予約フォームにも寄付金募集がありました(笑)
面談や説明会は、基本的にオンライン(ZOOM)です。
先日、平日の夕方に行われた説明会では、家族でのお出かけ先からスマホで参加していた先生もいました。自由。
遠足日と行先は急に決まる
日本では、年度ごとに予め遠足の日が決まっていると思いますが、長男の学校ではクラスごとに遠足の日付が違います。担任から
のようなメールが(急に)来るので驚きました。
私も遠足引率ボランティアに参加したことがあるのですが、1クラス20~25人の生徒のうち、5~10名ほどの保護者が毎回集まります。いきなり決まる割に、結構多い。
また、クラスごとの遠足では、行先もバラバラ。
あのクラスはショーを見に行ったのに、このクラスは近所の図書館に行っただけ、とか普通にあります。テキトーだな。
ちなみに学年遠足もありました。
ボランティア要請が多い
遠足の引率の件もそうですが、その他にもしょっちゅう保護者ボランティア募集があります。日本の学校よりも圧倒的に高頻度。
寄付金集めイベントの企画・準備・当日スタッフ、クラスアートの製作を監督、授業で仕事の内容を話す、絵本の読み聞かせ、学校グッズ管理・販売、図書整理、新学年に向けての教室準備…などなど。
アート製作のボランティアはかなりの頻度で学校に行き、実際に教室で子供達に指導するのでハードルが高く、私は怖くて応募できませんでした(笑)
おすすめは遠足の引率と整理・準備系。雰囲気でなんとかなる。
子供を現地校に通わせたいけど、自分の英語力に自信がない…という場合には、駐妻専門の英会話もあるそうです。